2002年 イギリス篇 Land’s End, St. Ives, Cornish ice cream, The Tate, Cornish pasty

朝食


7時起床。しかし5時ごろ、かもめの鳴き声が鳥というよりとても動物的で激しく、目が覚めた。既に明るくて、いったい日が暮れているのだろうか、といぶかしんでしまうくらいな感覚は夏のイギリスならでは。
8時にレストランで朝ごはん。
冷やしたオレンジジュース、 半分に切ったルビーのグレープフルーツ、紅茶そして Full English breakfastを頼みました。メニューの中に見慣れない言葉Cornish
Hog’s Pudding Sausage・・・「Hogって何ですか?」ご主人が何か説明してくれたのだけど、今ひとつ私は察しが悪く・・まあ、スパイシーなソーセージらしく「試してみるのが一番ですよ」とウィンク。「そうします!」「Very
Good!」 そしてやってきたのが、こちら。hogって豚だったのね。

熱々でたっぷりとした英国式朝食を食べたくてやってくる、と云ったら酔狂と思われるでしょうが、やっぱりこの一皿を目の前にする朝はたまらなく幸せです。塩っ気の多いベーコン、フライドトマト、目玉焼き、揚げトースト。この他にも籠に盛られたトーストがあり、バターとジャムをつけてかじりつきます。

隣の二人がけのテーブルには、オランダから来たやや年配の男性が一人で食事中。軽く挨拶を交わし会話が始まります。彼は車で旅行をしていて、昨日ランズエンドへ行ってきたそう。そしてオランダ休暇事情を聞いて、ホトホト羨ましくなりました。最低でも2週間、通常は4週間の休暇があるそうです。残業しても残業代ではなく、代休を取るのが一般的なのだとか。何故なら残業代は半分以上税金に持っていかれてしまうので、バカらしくてみんな休んじゃうんだそうです(私のヒアリングが間違っていたらいけないので、オランダの事情にお詳しい方、間違ってたらご指摘くださいませ)。
日本の何処から来たのか聞かれた時に、ただ東京のあたりって云うのもなんだったので、ちょうど今日W杯のトルコとブラジルがセミファイナルやるとこですって答えてみると、相好を崩したように「OH!」とにっこり。
彼が去った後、私の向かいのテーブルに一人でいたご婦人と本格的に話す。それまでは会釈やアイコンタクトはしていたのだけど。「私も日本に行ったことあるのよ」と彼女。
息子さんが日本にいたらしく、広島・京都・神戸と回ったそう。現在Devonで日本語を教えているその彼は休暇をとり、ご家族と一緒に彼女と後に合流してシリー諸島を巡るのだそう・・・素敵~。彼女自身はMidEngland在住だとか。すごく感じよく喋りやすい。私が、英語が母国語でない外人であるってのを理解して喋ってくれるのでありがたい。
朝ごはんの時間は美味しいだけでなく、恰好の英会話レッスンの場でもあるのです。
↑この棚はレストラン入り口のカップボード。

ペンザンスを出発するまで

食後いったん部屋に戻り、レセプションでランズエンド行きのバスの時間を尋ねると、マダムは何処かにTELして確認してくれました。この段階で、思った以上に直通の本数が少なく、ミナックシアターへ立ち寄ることをあきらめました。
「ランズエンドの観光って、車の方がいいんでしょうか?」「いいえ、道は狭くて運転はとても大変で、景色なんか見れないからバスの方がいいですよ」
なるほど!

左)ホテルを出て、そのまま海のほうへ歩いていく道。こじんまりしたB&Bが沢山ありました。妙な日本語で看板を書いてるところも・・・。
右)その途中にある、モラブガーデンに立ち寄る。ガーデンってこの地ではいわゆる多くの日本人が思い描くイングリッシュガーデンというよりはソテツや肉厚の植物が多い、南国風の印象。

モラブガーデンをさらっと後にし、海へ突き当たり、バスセンターの方へ歩いていきます。ヨットハーバーは、此処がリゾート地であることを強く感じさせます。

Land’s End

バスセンターに待機しているこれらのバスの内、右端の2F建てに乗ります。車内で一日乗り放題の1day
Explorer£6を購入。
First Bus社の1Bの路線で10:20発。2階の左前方に席を取ったら、とてもスリリングで楽しい! 狭くてくねくねした道をよくもまあこんなスピードで走っていくものです! 私は怖くて運転できません。
ランズエンドの手前のSennenというのは入り江の素敵なリゾート地のように見えました。
11:05、ランズエンドにバスが着き・・・。寒風吹きすさぶ半島の先で、一瞬どうしたらいいか判らなくなりました。

左上)First
and Last Refreshment House in England つまり、お土産やリフレッシュメントなどの売店です。コーニッシュアイスクリームを食べるのが目的の一つだったのだけど、寒くてダメ・・・。すごく古い時代、1900年頃の写真を使ったポストカードを買いました。当時から脈々とこの建物があるのが、この国のすごい処。
右上)お土産やさんより、海に向かって右手の方向。
左)それとは逆の方向。そちらにこれから向かいます。冷たい強風の中、震えながら歩きました。

ランズエンドの地図。真ん中の白い処が駐車場だったり、バス停だったり。下から真っ直ぐ歩いてきて、一旦右へ折れ、赤い小さな島が浮かんでる辺りのすぐ下がお土産やさんのある処だったと思います。
地図を言葉だけで説明するのって判りづらいだけかも・・・。
寒いのに、なんで? 半ズボンとか考えられない。時々気温に対する衣服の選び方に、欧米の人々との違いを目の当たりにします。
この辺り一帯、危険ながけが多い。
賑やかな方へ歩いてきましたが、休日に家族連れがドライブがてらやってきて遊ぶような子供向きの施設があったり、ホテルのレストランで地の果ての海を眺めながら食事やお茶をしたり、という場所のようです。何だかあんまり長いしたくない気持ちになり、次のバスでセントアイヴスへ移動することに決めました。でも中途半端にあと30分ほどありました。そこで、コーニッシュクリーム入りファッジショートブレッドを仕入れ、海のほうを向いたベンチに座り、チョコバーをかじり、ミネラルウォーターを飲み、日記を書いていました。
左)商魂たくましく、自分の街の名前を入れて写真を撮るという商売が繰り広げられていました。

右)ベンチに座ってる間に、見る見る内に晴れ間が。心も晴れ渡るような気持ちになりました。雲行き怪しいと思いつつも、傘を持ってきてなかったので実はひやひやしてました。

12:15分発の15番のバスで此処を発つべくバス停へ。Penzance行きとSt. Ives行きの2台のバスがいました。10人くらいの乗客が待っていて、誰も中に乗せて貰えない状態が数分続いていました。なにごと? セントアイヴス行きバスの列に並んでいたのですが、すぐ前にいたお年を召したご婦人二人連れが、「ペンザンス行きの運転手と交代するそうよ」と教えてくれました。「ああ、それでwe
should…..」と私が云いかけて「wait!」と三人で声を合わせて笑ってしまいました。彼女たち、観光客っぽいんですが、きちんとワンピースとかコートとか着ていて、ロンドンでお買い物するみたいな上品ないでたちなのです。英国ではやたらと上品な二人連れの老婦人の観光客を見かけるような気がします。
さて、噂の運ちゃんがバスに乗り込み、列が進みます。で、私は結局正しい方に並んでるか心配になり、「このバスはSt. Ives行きで間違いないんですよね?」「ええ、そうでないと困るわ。だって私たちもSt.
Ivesに行くんだから」
バスは乗るときに運転手からレシートのようなチケットを買うのですが、私は一日乗り放題券があるので楽。例の老婦人の方はSingle(片道)を買おうとしてて、運ちゃんに乗り放題券を薦められていました。なんせ、Land’s
EndからSt. Ivesまで£4.50するらしい・・・私は絶対得したな。
がっちりした腕っぷしの運ちゃんは、大型バスの幅くらいしかない狭い道で、しかも曲がりくねるは、上下するはジェットコースター並みの処を軽々と運転していきます。かと思えば、途中離合したバスの運ちゃんと5分くらい世間話で道に停車してしまったり。のどかだなあ。ホントに私は異国へ旅しに来たというのを実感します。
13:30頃、St. Ives着。

St. Ives

バス停で降りたのですが、考えたら私は此処の地図を何一つ持っていないのです。こういうときにはTIC(Tourist
Information Centre)に行くに限ります。その場所もよく判らないのですが、なんとなく賑やかな方へ闇雲に歩いていくと辿り着きました。とりあえず訪れる場所として、Tateのカフェでお茶しようと思い、無料で貰える地図で探したのですが、今ひとつ判らなかったので、カウンターで道を尋ねました。するとコピーの地図をくれて場所の説明をして貰えました。「Tateへの道は判りにくくて間違えやすいから気をつけて下さいね」とカウンタの感じよいおねーさん。
コーニッシュパスティ屋さんがそこかしこにあり、此処で買って行こうかなあとあれこれ目を奪われながら歩いていると、ランズエンドと打って変わって汗ばむほどの陽気!これは絶好のコーニッシュアイスクリーム日和だ!さっそくプレーンな奴を£1.10でゲットし、ベンチで小休止。すごくねっとりと濃い。美味しい! ああ、いつもこれが食べられたらいいのに・・・。


左上)アイスを食べながらの景色。寝そべって日光浴する人の中には上半身裸だったり。先ほどのランズエンドの寒さが嘘のよう・・・。
上)案の定、道を間違え、なるだけジモティ風の人を捕まえて地図で確認。この写真は、本来真っ直ぐバス停からテートへ行くときには通らない海岸。
やっとのことで、テートへの道を歩く・・・左の写真、なにやら地中海的な雰囲気。(行ったことはないのだけど)最初にテートへの大きな看板があったのだけど、コーニッシュパスティに目を奪われていて見落としたらしいです。

セントアイヴスは、芸術家が集まる町で、ギャラリーもとても多い。ロンドンにあるテートギャラリーが此処にもテートを置くのも頷けます。

おやつ(Tate St. IvesのCafe)



時間的にもうお茶だけ、と思っていたので、入り口で「カフェ利用です」と申告してシールを胸に貼って貰います。ショップとカフェだけを利用する人は無料で入場できます。最上階で、小高い処にあるから眺めが良いし、気持ちが良い!しかも静か。
ラプサンスーチョン£1.30と英国に来たら一度は食べたくなる懐かしい味キャロットケーキ£1.75で、ホッと一息。美味しい~。フルイングリッシュブレックファストを食べていたので、お昼食べなくてもちょうどいい感じでした。


左上)Tate St. Ivesの外観。この写真を撮っているときには思いも寄らないことが翌朝に・・・。それは次の更新をお楽しみに!
上)ギャラリーの前の海岸。のんびりと寝そべる人がたくさんいました。
左)ケルト十字。パリッシュ教会の中に建っていました。イングランドの南西の端、ケルト文化の色を見ることが出来ます。バスからの景色でも、教会に建つ石碑はケルト十字を沢山見ました。


15:50のバスのために、バス停へ戻ります。上の二つの写真は町を見渡したもの。右の写真の、やや突き出した辺りでアイスを食べました。バスに乗り込んで、後ろの方の窓際の席に座りました。さほど大きいバスではなく、満席になりそうな勢いです。どんどん人が乗ってくると、少し前に一人で座っていたおじいさんが立ち上がって、二人連れの男性に席を譲り、私の横に座りました。「いいかな?隣。わしゃ男は好かんからな」おかしくて笑ってしまいました。
St. Ivesのお姉さんもしくは妹さんの処に遊びに来た帰りらしく、生まれはペンザンス、でもスコットランドに30年住んでた3年前にまたペンザンスに戻ってきたとか。芸術が好きで、ニュージーランドやアメリカとか色々旅したけど、日本にはまだ行ってない、と聞き「じゃ、次は日本にも来て下さいね」と云うと「はっはっは、わしゃもう年をとりすぎているよ」と笑いました。華奢で、しわが深く刻み込まれた顔に、すごく綺麗な水色の瞳のおじいさん。スコットランドかコーンウォールか、どちらの訛りなのかは判らないけど、そもそもヒアリング能力の問題でもあるのだけど、たくさんおじいさんが喋ってくれたことの中で全てが判った訳ではないのも、また自分で歯がゆい。
ところどころで四角い塔があってそれをおじいさんは「炭鉱の跡だよ」と教えてくれました。・・・そうだ、コーニッシュパスティって、もともと炭鉱夫のお弁当だったんですよね。
「おすすめのコーニッシュパスティ屋さんってあります?」「I would」wouldの方をやや強調して。「Warrensがいいかな。パスティ屋は昼から午後にかけてのものだから、この時間はおすすめできんがね」

なるほど、実はWarrensは通りかかってチェックは入れていたのです。エスカレーターのある場所・・・といえば、きっとすぐ判ります。
17時ちょっと前にペンザンスへ到着。おじいさんとお別れしました。

夕食

この時間、Warrensのショーケースには残り少なくなっていましたが、ベジタブルパイ85p最後の一個を買いました。急いでホテルに戻り、お茶をいれ、昨日のネクタリンの残りやらで晩御飯。
野菜がこんなにぎっしりで美味しい! 良い! 日本でも展開してくれないかなあ~。日本ではさいたまスタジアムでブラジルが勝ったらしい。そういえばBBCのW杯のオープニングの映像は、日本と韓国のイメージクリップのような物で、ふうん、こんな風にみてるのねって感じられて面白かったです。